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和歌山の毒物カレー事件で、殺人
和歌山の毒物カレー事件で、殺人などの罪に問われ1、2審で死刑判決を受けた林真須美被告(47)に対する上告審判決が21日、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)で言い渡される。毎年恒例の夏祭りが惨劇へと暗転してから、10年9カ月。事件はひとつの区切りを迎えるが、遺族や被害者らは決して癒えることのない悲しみと今も向き合い続けている。事件の犠牲となった園部第14自治会長、谷中孝寿さん=当時(64)=の妻、千鶴子さん(72)は昨年7月、事件発生から10年を迎えるのを前に、こう話していた。私立開智高校1年だった娘の鳥居幸(みゆき)さん=当時(16)=を亡くした百合江さん(58)も「気分的に何か話せる状態にない」と答えるだけだ。娘がカレーを口にした男性(66)が「カレー事件より後に起きた事件でも、死刑が執行されているのに…」と話す一方、娘が被害に遭った女性(55)からは「真須美被告も4人の子を持つ母親。死刑にするのはどうなのか、という気持ちがわいてきた」という声も聞かれた。10年余の月日は、地域の風景にも変化をもたらした。平成12年2月に放火のため全焼した真須美被告宅の跡地は競売の末、自治会が購入、公園として整備された。惨劇の舞台となった祭り会場の空き地には民家が建った。被害者の会副会長の杉谷安生さん(61)は「真須美被告がなぜあんなことをやったのか、動機を知りたい。それがないと、判決が確定しても胸のつかえは残る」と、かみしめるように話した。真須美被告の弁護側は、上告趣意書で「カレー事件は、嫌がらせのため食中毒騒ぎを起こそうとした犯行だった」との主張を展開した。そのなかで真須美被告から“真犯人”とほのめかされた住民の女性は「そのことはあまり話したくない。思いだしたくない」と表情を曇らせた。女性はカレーを食べて急性ヒ素中毒で入院。今も、その後遺症とみられる手足のつめの変形に苦しんでいる。和歌山の毒物カレー事件 平成10年7月25日、和歌山市園部の自治会主催の夏祭りに出されたカレーにヒ素が混入され、谷中孝寿さんと鳥居幸さん、自治会副会長の田中孝昭さん=当時(53)、市立有功(いさお)小4年の林大貴(ひろたか)君=同(10)=の4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒に罹患(りかん)した。和歌山県警は同年10月4日、別の殺人未遂容疑などで林真須美被告を逮捕。
12月9日にカレー事件の殺人、殺人未遂容疑で再逮捕した。被告は無罪を主張したが、1審和歌山地裁、2審大阪高裁はともに死刑を宣告。被告側は上告した。
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